Webサイトは「目的」で選べ。現役ディレクターが解説する、6つの型と戦略的使い分け。

Creative Work

「とりあえず、会社のホームページを作りたいんですけど。」

Webディレクターをしていると、よくこの言葉を耳にします。しかし、プロから言わせれば、そのオーダーには「何のために?」という視点が抜け落ちています。

Webサイトは、ビジネスの目的によって形を変える「武器」です。

戦う場所や相手(ターゲット)が違えば、選ぶべき武器も当然変わります。目的がズレた武器を選べば、どんなに予算をかけても成果(コンバージョン)は出ません。

この記事では、代表的な6つのWebサイトの種類について、それぞれの「役割(ミッション)」と、失敗しないための「プロの視点(ロジック)」を解説します。


1. コーポレートサイト

役割:企業の「顔」であり「信頼の証」

企業の基本情報を網羅した、最もスタンダードなWebサイトです。

会社概要、事業内容、代表挨拶、IR情報などを掲載し、ステークホルダー(取引先、銀行、求職者)に対して「実在証明」と「信頼」を提供します。

プロの視点(Logic)

このサイトに「爆発的な集客」や「売上」を期待してはいけません。これはあくまで、名刺代わりの「信頼のインフラ」です。

ただし、デザインのクオリティは企業の「格」に直結します。

WARNING
「お知らせ」の最終更新日が数年前になっているサイトは、企業として「活動実態がない」ように見えるリスクがあります。運用リソースがないなら、最初から更新コンテンツを置かない設計にするのも一つの戦略です。


2. リクルートサイト

役割:求職者への「ラブレター」

採用に特化したWebサイトです。

給与や待遇などの条件面だけでなく、企業のカルチャー、働く人の顔、キャリアパスなどを深く伝え、「欲しい人材」の応募を促し、「ミスマッチ」を防ぎます。

プロの視点(Logic)

条件(給与・休日)の比較なら、Indeedやリクナビなどの媒体で十分です。自社サイトでやるべきは、媒体には載せられない「空気感」の伝達です。

POINT最近の求職者は、綺麗事だけの「先輩社員の一日」には飽きています。「社長の失敗談」や「現場のリアルな苦労」など、嘘のないコンテンツこそが、本当に熱意のある人材を惹きつけます。

3. サービス / ブランディングサイト

役割:特定の商材に特化した「敏腕営業マン」

コーポレートサイトから切り離し、特定の商品・サービス・ブランドの世界観を深く伝えるためのサイトです。

コーポレートサイトが「信頼(堅実さ)」を売るのに対し、こちらは「世界観(個性)」を売り込みます。

プロの視点(Logic)

一つのサイトにごちゃごちゃと情報を詰め込むと、ユーザーは迷子になります。

「主力商品」や「新規ブランド」があるなら、予算をかけてでも独立したサイトを作るべきです。ここはデザインや動画に投資し、ファンを作るフェーズです。

WARNING「デザイン=アート」と勘違いしてはいけません。 過剰なアニメーションや、英語ばかりで読めないメニューは、ユーザーにとって「ノイズ」でしかありません。「かっこいい」よりも「伝わる」を優先できないなら、そのサイトはただの自己満足です。

4. オウンドメディア

役割:潜在顧客を育てる「農場」

ブログ形式で、ユーザーに有益な情報(ノウハウ、業界ニュースなど)を発信し続けるメディアです。

直接的な売り込みではなく、検索流入(SEO)から認知を広げ、時間をかけてファンを育成します。

プロの視点(Logic)

オウンドメディアは「資産」になりますが、即効性はありません。成果が出るまで最低でも半年〜1年はかかります。

多くの企業が「とりあえずブログ」で始めて、更新が止まり失敗します。

WARNING「継続」こそが最大のコストです。

専任の編集者やライターを確保できないのであれば、安易に手を出すべきではありません。


5. ECサイト

役割:24時間稼働する「自動販売機」

Web上で直接商品を販売し、決済まで完結させるサイトです。

「Amazon」や「楽天」のようなモール型と、自社で構築する独自ドメイン型があります。

プロの視点(Logic)

「ネットショップを作れば世界中の人が買ってくれる」というのは幻想です。

無人島に店を出すのと同じで、広告やSNS運用などの「集客戦略」とセットで考えなければ、売上は1円も立ちません。

また、カゴ落ち(購入直前の離脱)を防ぐために、UI/UX(使いやすさ)の設計が最もシビアに求められる領域でもあります。

WARNING「手数料がもったいない」という理由だけで、安易に自社サイト(独自ドメイン)を選ぶのは危険です。大手モールには「集客力」と「安心感」があります。ブランド力がないうちは、自分で広告費をかけて集客するコストの方が、モールの手数料よりも高くつくケースがほとんどです。

6. LP(ランディングページ)

役割:一点突破の「チラシ」

広告の受け皿として用意される、縦長の1ページ完結型サイトです。

余計なリンクをすべて排除し、「購入」か「離脱」か、二つに一つの決断をユーザーに迫ります。コンバージョン(成果)を最大化することだけに特化しています。

プロの視点(Logic)

LPは単体では機能しません。Web広告(リスティング広告やSNS広告)と組み合わせるのが大前提です。

「デザインが綺麗かどうか」よりも、「売れるセールスライティングになっているか」が勝負を分けます。

RULE逃げ道をなくし、クロージング(成約)まで一気に読ませる。それがLPの唯一の仕事です。

まとめ:そのWebサイトは、課題を解決するか?

Webサイトの種類は、RPGゲームの職業選びに似ています。

魔法使い(LP)に肉弾戦(ブランディング)をさせても勝てませんし、戦士(コーポレート)に回復魔法(採用)は期待できません。

「誰に、何をしてほしいのか?」

制作を依頼する前に、この原点に立ち返ってください。

目的さえ明確であれば、我々Webディレクターは最適な「武器」と「戦術」を提案できます。

まずは御社のビジネス課題を明確にすることから始めましょう。

それが、失敗しないWeb制作の第一歩です。


Webサイトは、ただ作ればいいだけの「看板」ではありません。

「何のために作るのか?」この目的ひとつで、掲載すべきコンテンツも、デザインも、導線もすべて変わります。

効果を最大化するためには、Webディレクターを単なる「制作代行」だと思わないでください。 我々は、あなたのビジネスを成功させるための「戦略パートナー」です。

「どんなサイトを作ればいいかわからない」 そう悩んだ時こそ、まずはプロに相談してください。一緒に「勝てる戦略」を考えましょう。

nemuriryu_u

福井を拠点とするWebディレクター/クリエイティブディレクター。 昼はデジタルの論理(Logic)で正解を導き出し、夜は気まぐれ(Whimsy)に、自分だけの時間を灯す。 ここにあるのは、思考を加速させるデジタルと、心を整えるアナログな視点の記録。

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福井を拠点とするWebディレクター/クリエイティブディレクター。 昼はデジタルの論理(Logic)で正解を導き出し、夜は気まぐれ(Whimsy)に、自分だけの時間を灯す。 ここにあるのは、思考を加速させるデジタルと、心を整えるアナログな視点の記録。

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