「仕事道具なんて、軽さが正義じゃないですか? ノートPCとスマホがあれば十分だし、わざわざ重い手帳や万年筆を持ち歩くなんて、非効率に見えます。」
確かに、効率だけを求めるならiPad一枚で済むかもしれません。
しかし、「効率(速さ)」と「思考(深さ)」は別次元の話です。
私は、クライアントの難題を解くための「思考の深さ」を確保するために、あえてこのセットアップを選んでいます。
The Weight of Thought
カバンの重さは、そのまま「仕事への責任の重さ」でもあります。
最新のデジタルデバイスで武装しつつ、アナログの革とインクの匂いに包まれて思考する。
今回は、そんな矛盾を愛するWebディレクターの「思考の基地(カバンの中身)」を紹介します。

1. 母艦:SLOW Fino – Tote Bag S
すべての道具を包み込む母艦には、日本の職人ブランド「SLOW」のトートバッグ(CHOCOカラー)を選びました。
このバッグを選んだ理由は以下の2点です。
- オンオフの境界線がない: ビジネススーツにも、休日のラフなスタイルにも馴染むデザイン。
- 経年変化(エイジング): 使い込むほどに艶が増す革の表情は、「時間を味方につける」という私の仕事観とリンクします。
ナイロン製の軽量バッグも便利ですが、この「革の重み」こそが、仕事に向かうスイッチを入れてくれるのです。

2. 脳の拡張メモリ:システム手帳の「2台持ち」
私のカバンの中で最も場所を取り、かつ最も重要なのが「システム手帳」です。
デジタル全盛の今、なぜ紙を使うのか。それは、通知に邪魔されず、自分の脳内と対話するためです。用途に合わせて2冊を使い分けています。
メイン:Davinci ロロマクラシック A5(ブルー)
思考のメインフィールドです。リング径20mmのA5サイズに、情報のすべてを集約しています。
役割: アイデア出し、プロジェクトの全体設計、知識のストック。
こだわり: かつてバイブルサイズを使っていましたが、思考の広がりを制限しない「A5サイズの使用感」に戻ってきました。リフィルは「LIFE」のものを使い、自作のデイリーリフィルでタスクを管理しています。
サブ:アンドリーベ バイブルサイズ(ナチュラル)
こちらは「機動力」担当。16mmリングで、ペンを持ち歩くための特等席でもあります。
役割: サッと取り出してメモを取る、外出先での一時保管場所。
こだわり: ナチュラルカラーのヌメ革は、ブルーのロロマクラシックとのコントラストが美しく、デスク上に置いた時の「景色」を作ってくれます。

Analog Routine朝の儀式: 仕事始めに、その日のToDoとスケジュールを手帳に書き出し、脳内のメモリを解放する。
週の儀式: 週初めに一週間の流れを俯瞰する。
紙へのこだわり: 愛用の万年筆のインクが裏抜けしない紙(LIFEなど)を厳選する。

3. 思考の出力装置:「王様」と「騎士」の2本のペン
手帳に書き込むためのペンも、明確な役割分担があります。 私のカバンの中には、「ゆっくり考える(王様)」と「素早く処理する(騎士)」という、全く異なる性格の2本が共存しています。
思考を統治する王様:Montblanc マイスターシュテュック 149
「万年筆の王様」と呼ばれるモンブランの149(プラチナコーティング)。 このペンは、立ったままメモを取るような軽率な扱いは許されません。腰を据えて企画を練る時や、複雑なロジックを整理する時、デスクという玉座でその威厳を発揮します。 太い軸が生み出す安定感と、金ペンの滑らかな書き味は、王の言葉のように、インクが溢れるようにアイデアを出力してくれます。
前線を駆ける騎士:Caran d’Ache エクリドール(レトロ)
王が動けないなら、実務の最前線(フィールド)を駆け回るのは「騎士」の役目です。 カランダッシュのボールペン「エクリドール」を選んだ理由は、その銀の甲冑のようなボディにあります。 「レトロ」という名の精巧な彫刻が施された六角形のボディは、握るたびに戦場(現場)での高揚感を与えてくれます。素早いメモや複写式の書類への記入など、機動力が求められる場面で確実に任務を遂行する、私の最も忠実な騎士です。
▲Montblanc マイスターシュテュック 149
▲ Caran d’Ache エクリドール(レトロ)
4. デジタル武装:Galaxy × ASUS × SHOKZ
アナログで思考を深めた後は、最新鋭のデジタルツールで形にします。
Digital Weapons
- Galaxy S25 Ultra:
最強のサブウェポン。とっさのToDoメモやGoogleカレンダーへの入力は、手帳を開くよりもスマホが早いです。「短期記憶はスマホ、長期思考は手帳」という使い分けが、私の脳内整理術です。 - ASUS ProArt PX13:
クリエイター向けのハイスペックPC。Webディレクションではデザインデータや重い資料を開くことも多いため、妥協のないスペックを選んでいます。 - SHOKZ OPENFIT:
耳を塞がないワイヤレスイヤホン。長時間のオンライン会議でも疲れず、周囲の音も聞こえるため、オフィスやカフェでの作業に最適です。

5. まとめ
Summary私のカバンの中身は、一見すると新旧の技術が混在するカオスに見えるかもしれません。しかし、そこには明確なルールがあります。
- 思考(Analog): SLOWの革鞄、ロロマクラシック、モンブラン万年筆で、深くゆっくり考える。
- 実行(Digital): Galaxy S25 Ultra、ASUS PCで、最速で成果物に落とし込む。
- 美学(Gold): 経年変化を楽しめる道具を選び、仕事中の気分を高める。
「何を使うか」は「どう働くか」と同義です。
軽くて便利な道具は世の中に溢れていますが、「便利さ」と「豊かさ」は違います。
あえて手間のかかる万年筆や、重い革の手帳を持ち歩くこと。その「重み」が、プロフェッショナルとしての自覚を支え、薄っぺらい仕事になることを防いでくれているのです。
あなたも、自分の思考を深めてくれる「心地よい重り(おもり)」を、カバンに入れてみませんか?

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