【システム手帳論】ロロマクラシックA5に構築した「4階層12タブ」の思考要塞。Webディレクターのリフィル構成術。

Analog Life

「前回の記事で『手帳2冊持ち』と言っていましたが、具体的に中身はどうなっているんですか? スマホのカレンダーアプリじゃダメなんですか?」

もちろん、スケジュール管理だけならGoogleカレンダーが最強です。 しかし、Webディレクターの仕事は「予定を埋めること」ではありません。「プロジェクトの全体像を描き、人を動かし、ゴールへ導くこと」です。 そのためには、スマホの狭い画面ではなく、情報を俯瞰できる「思考の要塞(システム手帳)」が必要なのです。

【カバンの中身】Webディレクターの思考基地。「ロロマクラシックA5」と「万年筆」を持ち歩く理由。
【カバンの中身】Webディレクターの思考基地。「ロロマクラシックA5」と「万年筆」を持ち歩く理由。
READ MORE

Architecture of Thought

 私のロロマクラシックA5は、単なるメモ帳ではありません。 脳内の情報を「4つの階層」「12の部屋(タブ)」に分類し、必要な時に瞬時に取り出せるように設計されたデータベースです。 今回は、デジタルツールでは真似できない、私の「思考のシステム構築論」を公開します。


1. 思考の母艦:Davinci ロロマクラシック A5

まず、私の思考を受け止める母艦(ハードウェア)のスペックを確認しておきます。

  • Model: Davinci ロロマクラシック A5
  • Color: ブルー(知性と深海をイメージ)
  • Ring: 20mm(情報を網羅するための容量)

Why A5 Size?

かつて機動力を求めてA5からバイブルサイズへ移行しましたが、結局はA5に戻ってきました。その理由は「思考の解像度」です。

バイブルサイズ: メモ書き(テキスト)には最適だが、図解やマインドマップには狭すぎる。

A5サイズ: A4資料を二つ折りで収納でき、広げれば思考のフィールドが無限に広がる。 複雑なWebサイトの構造図や、プロジェクトの相関図を描くには、この広さが不可欠なのです。

Next Phase: 30mmへの渇望

正直に告白すると、現在の20mmリングでは「情報の飽和」が近づいています。 複数のプロジェクトが並行して走るWebディレクターの現場では、A5のリフィルが瞬く間に埋まっていきます。今の20mmは「機動力」とのバランスが最高ですが、私のデスクには、さらなる収容力を誇る「ロロマクラシック 30mm径(ブラウン)」の導入計画が、すでに水面下で進行しています。 それはもはや手帳ではなく、「持ち歩ける書庫」と呼ぶべき存在になるでしょう。


2. リフィル構成の「4階層」システム

システム手帳の最大の武器は、「情報の配置を自分でデザインできること」です私は全12個あるインデックス(タブ)を、以下の「4つの階層」にマッピングし、情報の抽象度ごとに管理しています。

  • 第1階層:【CORE】 ミッション・価値観(最上位概念)
  • 第2階層:【ACT】 実行・記録(日々の運用)
  • 第3階層:【STOCK】 資産・思考(万年筆の出番)
  • 第4階層:【DATA】 保存・趣味(参照用)

物理的には12本のタブが並んでいるだけですが、私の脳内ではWebサイトの「ディレクトリ構造」と同じようにフォルダ分けされています。情報が迷子にならないよう、目的を明確に定義しているのです。


3. 第1階層【CORE】:自分と組織の「憲法」

手帳を開いて最初に目にする場所。ここは予定ではなく、私の「OS(行動指針)」を置く場所です。 どんなに忙しい日でも、まずここを通過してから実務に入ります。

1. MISSION / 2. VISION

重厚な革の表紙を開くと、まず最初に現れる「1ページ目」ここには、スケジュールでもカレンダーでもなく、元旦の朝に、万年筆で書き上げた「今年の抱負」だけを挟んでいます。

なぜ、1ページ目なのか。 それは、手帳を開くたび——つまり、仕事に向き合うたびに、強制的に「年始の決意」と目を合わせるためです。 デジタルテキストは修正できますが、元旦の澄んだ空気の中で書いたインクの濃淡は、その瞬間の決意を永遠に保存しています。日々の業務で摩耗しそうになる心を、この1ページが再点火させるのです。

そして、その次に来るのが「会社の経営理念」と「プロとしてのモットー」です。 決意(エンジン)で動き出し、理念(羅針盤)で方向を定める。 「情熱」と「理性」がこの順序で並んでいることこそが、私がプロとして機能するためのシステムなのです。

3. PROJECT(長期計画)

Webサイト制作は、要件定義から公開まで数ヶ月〜半年を要する長距離走です。 ここには、「案件ごとの進捗管理シート」を挟んでいます。

  • 役割: 各プロジェクトが現在どのフェーズ(デザイン、コーディング、テスト等)にあるかを一覧化する。
  • 狙い: 目の前のタスク(木)に埋没せず、プロジェクト全体(森)の遅れやリスクを早期に発見する。

4. 第2階層【ACT】:日々の戦場を回す

第1階層で方向性を確認したら、次はこの第2階層で具体的なアクションに移ります。 ここは毎日アクセスする、実務のメインフロアです。

4. MONTHLY / 5. WEEKLY

スケジュール管理のマスターデータはGoogleカレンダーですが、私は毎朝、その日の予定をあえて手帳のバーチカル(時間軸)へ書き写しています。

なぜデジタルとアナログで二重管理するのか? それは、Googleカレンダーに入っている予定があくまで「他人との約束(ただのデータ)」に過ぎないからです。

ペンを動かし、自分の文字でタイムラインを埋めていくこと。この「転記」という儀式を経て初めて、予定は「自分がコントロールすべき現実の時間」として脳にインストールされます。

  1. まず、確定しているアポを書き込む(時間をロックする)。
  2. 残った空白(空き時間)を可視化する。
  3. その空白に、その日のハイライト(最も重要な成果)」をブロックとして配置する。

「何時にどこへ行くか」と「今日何を成し遂げるか」を、物理的な紙の上で統合する。このアナログによるシミュレーションこそが、ディレクターがプロジェクトの主導権を握り続けるための鍵なのです。

6. DAILY(自作リフィル)

ここには私の「論理」が詰まっています。市販のものでは帯に短し襷に長しだったため、illustratorで自作した専用リフィルを使用しています。1ページに以下の5つの機能を集約しました。

The 5 Pillars of Daily

  • 一日の目標(Objective): 今日、最も成し遂げたいテーマやゴールを1つだけ設定し、ブレないための「コンパス」とします。
  • タイムライン(Timeline): バーチカル形式で時間の流れを可視化。ミーティングと作業時間のブロックを厳密に組みます。
  • ToDoリスト(Task): 「今日絶対にやること」を箇条書きにし、完了したら万年筆で線を引いて消し込みます。
  • 簡易メモ(Memo): 電話中の走り書きや、ふと思いついたタスクの一時保管場所(脳のキャッシュメモリー)。
  • 一日の評価(Review): 1日の最後に5段階で一日の出来を評価します。

「時間(有限なリソース)」と「やるべきこと(タスク)」、さらに「目標と振り返り」を同じページで管理することで、「今日はこれ以上詰め込めない」という現実を直視し、オーバーワークを防ぐ完璧な司令塔として機能しています。

7. MEETING(議事録)

Webディレクターの命綱です。 プロジェクトが炎上する原因の9割は「言った・言わない」の認識ズレです。

  • 日付・相手・場所
  • 決定事項(Decision)
  • 次へのアクション(Next Action) この3点を明確に記録し、会議の最後には必ず確認します。このリフィルが、プロジェクトの防波堤となるのです。

5. 第3階層【STOCK】:万年筆で耕す「資産」の畑

効率とスピードが求められる第2階層とは対照的に、ここは「時間を止めて、深く潜る場所」です。 太軸の万年筆「モンブラン マイスターシュテュック 149」のキャップをゆっくりと外し、インクの濃淡を楽しみながら、自分だけの資産を蓄積していきます。

8. PEOPLE(人脈・顧客)

ここには、名刺管理アプリには決して入力しない、アナログな情報を記録しています。 クライアントやパートナーの担当者について、「人間としての側面」をストックするのです。

  • 雑談の記録: 「最近キャンプにハマっている」「娘さんが受験生」といった、ふとした会話。
  • 熱量の所在: その人が仕事で何に情熱を燃やしているか、何に不安を感じているか。

次に会った時、「そういえば、キャンプはどうでした?」と一言添えるだけで、ビジネスライクな関係に体温が宿ります。 Web制作は技術ですが、プロジェクトを動かすのは結局のところ「人と人との信頼関係」です。このリフィルは、その信頼を築くための秘密の台帳なのです。

9. IDEAS(思考の種)

「これ、面白いかも」と思った着想や、未解決の問いを投げ込んでおく場所です。 スマホのメモアプリに入力したアイデアは、その瞬間に「保存」されて終わりになりがちです。しかし、紙の上に万年筆で書きなぐると、脳のリミッターが外れます。

  • 図解してみる。
  • 矢印で繋いでみる。
  • あえて結論を出さずに「問い」のまま置いておく。

寝かせたアイデアが、数ヶ月後に別のページと繋がり、企画書として結実することもあります。ここは、私の脳内の「培養室」です。

10. KNOWLEDGE(知識)

業務で得た知見や、読書で得た学びを体系化してストックします。 「サーバー移転時のトラブルシューティング」や「心理学に基づくUI設計の原則」など、自分だけのウィキペディアを構築しています。

 Ink Flow

効率重視の第2階層が「デジタル的(0か1か)」なら、この第3階層は徹底して「アナログ的(グラデーション)」です。 思考の速度に合わせてインクが紙に染み込んでいく。その物理的な感触こそが、Webディレクターとしての思考の解像度を高めてくれると信じています。


6. 第4階層【DATA】:思考のバックアップと余白

最後の階層は、参照用のデータと、仕事から少し離れた「余白」のスペースです。

11. ARCHIVE(保存資料)

直近では使わないものの、必要な時にすぐ参照したい過去のマニュアルや、直近のプロジェクトの完了報告書を収納しています。 クラウドにもデータはありますが、「パラパラと捲れる状態」で持っておくことで、過去の知見へのアクセス速度を物理的に担保しています。

12. PRIVATE(趣味・余白)

仕事人間になりすぎないよう、最後には「カメラ」や趣味のページを設けています。 欲しいレンズのリストや、週末に行きたい撮影スポットのメモ。 ふとこのタブを開いた時、張り詰めていた緊張が解け、脳に空白が生まれます。良い仕事をするためには、こうした「遊び」の領域もシステムの一部として組み込む必要があるのです。


7. まとめ:手帳は自分だけの「検索エンジン」

Summary

私のロロマクラシックA5は、単なるスケジュール帳ではありません。 脳内の情報を構造化し、必要な時に瞬時に取り出せるように設計された「思考のデータベース」です。

  • CORE(第1階層): 迷った時のコンパス(理念・直筆の抱負)。
  • ACT(第2階層): 前に進むためのエンジン(日々の実行・自作リフィル)。
  • STOCK(第3階層): 自分を豊かにする土壌(思考・人脈・万年筆の世界)。
  • DATA(第4階層): 過去と未来を繋ぐ倉庫(保存・趣味・余白)。

Web上の情報はGoogleで検索できますが、「自分の人生と仕事の最適解」はどこにも載っていません。 それを記録し、いつでも検索できる状態にしておくのがシステム手帳です。

あなたも、既製品のリフィルをただ埋めるのではなく、自分の思考回路に合わせた「システム」を構築してみませんか? それはきっと、最強のビジネスパートナーになるはずです。

「手帳なんて、続かないんですよ」 よくそう言われます。わかります。私も何度も挫折しました。 でも、続くかどうかの分かれ目は、「きれいに書こうとしていないか」にあります。

システム手帳は、誰かに見せるための作品ではありません。 泥臭い悩み、殴り書きのアイデア、悔しかった日の記録……それらすべてを受け止めてくれる「自分だけの避難所」であり「作戦基地」です。

まずは、お気に入りのリフィルを1枚、バインダーに挟んでみてください。 そして、万年筆で最初の一文字を刻んでみる。 そのインクが乾いた瞬間から、あなたの仕事の質は変わり始めます。 さあ、スマホを置いて、思考の旅に出かけましょう。

nemuriryu_u

福井を拠点とするWebディレクター/クリエイティブディレクター。 昼はデジタルの論理(Logic)で正解を導き出し、夜は気まぐれ(Whimsy)に、自分だけの時間を灯す。 ここにあるのは、思考を加速させるデジタルと、心を整えるアナログな視点の記録。

関連記事

特集記事

コメント

この記事へのトラックバックはありません。

nemuriryu_u

福井を拠点とするWebディレクター/クリエイティブディレクター。 昼はデジタルの論理(Logic)で正解を導き出し、夜は気まぐれ(Whimsy)に、自分だけの時間を灯す。 ここにあるのは、思考を加速させるデジタルと、心を整えるアナログな視点の記録。

最近の記事
  1. 【システム手帳論】ロロマクラシックA5に構築した「4階層12タブ」の思考要塞。Webディレクターのリフィル構成術。

  2. 【カバンの中身】Webディレクターの思考基地。「ロロマクラシックA5」と「万年筆」を持ち歩く理由。

  3. Webディレクターが、iPhoneではなくあえて「一眼カメラ」を持ち歩く理由。

アーカイブ
TOP
人気記事

人気記事ランキングのまとめページ。

記事の総合ランキング、
月間ランキング、年間ランキング、
それぞれの人気記事を確認いただけます。

記事一覧
CLOSE
人気記事

人気記事ランキングのまとめページ。

記事の総合ランキング、
月間ランキング、年間ランキング、
それぞれの人気記事を確認いただけます。

記事一覧